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(つづき)

吉村先生の電話の直後、今度はお隣のタケオさんからの電話です。
「今日は家におるんかい?」
「はい、おりますけど?」
「じゃぁ、すぐに山に登ってこないか?」
それを聞いて思わず、「え、シシ(猪)ですか?」と返答してしまいました。
この初秋にも二人でシシを追って山中を歩き回ったことがあったので、
今回も掛かったのか?とつい考えてしまったのです。

「うんにゃ、木だ。薪用の木が出るから、いるなら取りにおいで。」ということ。
少々拍子抜けしながらも、すぐにチェーンソーとナタを持って馳せ参じます。
すると前回並みの傾斜地でタケオさん、樹を切り倒しておりました。
私はてっきり倒れた樹の枝を落としていただくのかと思っていたら、
「その脇の樹も倒せ。」との指示です。

参ったなぁ、つい数日前はチェーンソーの調子は良かったのですが、
不精をしてメンテしていなかったのです。
今週末にやろうとしていたんだけど、
やっぱり道具はその日のうちにメンテするもんですね。
それでも何とか一本目はスムーズに切れ、綺麗に倒れてくれました。
その後もタケオさんから次々に指示が出ます。
直径40~50cmほどのモミの樹を1mごとに丸太切りしたり、
枝を落とした木を崖から道路に投げ込んだりしていると、もう汗だくです。
ようやく作業が終わり、正直言ってヘロヘロでした。今日は肉体作業はもう上がりです。
でもおかげでまた薪材が増え、来年の初夏くらいまではもつかも。

さて家に帰り、一息ついて、ついつぶやいている自分がおりました。
「吉村先生、私もよくわかりません。
今朝一番には切断されたミミズを見て申し訳ないとか憐れだとか言いながら、
その舌の乾かぬうちに『シシが掛かったか!』と気持ちが昂ぶり、
植林だとは言いながらも、樹を切り倒している私です。
結局、私は自然というものを自分にとって都合良く利用しているだけです。
こんなことで、『自然の中で、自然に学び、自然体で生きる』なんて言えるんでしょうか?」
この課題の答えは簡単に出そうにありません。

午後は前からやろうとしていた「柿酢搾り」です。
前回仕込んだ柿酢、随分と良い香りがするようになったので、
もうビンに移そうかということになりました。
確か5~6個の柿だったかと思いますが、そこから250ccの酢ができました。
10/8に仕込んだ時
CIMG0286-2.jpg

今日、搾る前
CIMG0011-2.jpg

しっかり酸っぱくて、全く嫌味が無く、後味が良いです。完璧!
そこで早速第二弾、先日いただいた完熟渋柿を使うことにしました。
今回は大き目の海苔ビンに、約30個分です。
写真の様にヘタを取って切って、ビンに詰めただけ。
そして布をかぶせて虫が入らないようにして冷暗所におきます。
これからは酢づくりも病み付きになりそうです。

早速第二弾の仕込み
CIMG0012-2.jpg

そんなこんなで本当にいろいろあり、考えてしまう日でした。
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今朝は馬糞がえしをしていました。
我が家のすぐそばに「木曽馬牧場」というのがあります。
そこには年老いた木曽馬が一頭だけ放し飼いにされ、余生を送っています。
その馬の糞を軽トラ一杯分ほどこの春にいただき、畑の一角に積み上げておりました。
カミさん曰く、年に何度かひっくり返すことで空気が入って良い堆肥になるのだとか。
ちょうど場所を移動させたいところでもあったので、3mほど横にずらすことにしました。

スコップで一杯ずつ移していきますが、かなり単調で地味な作業です。
と、よく見るとミミズ君たちがわらわらと出てきました。
せっかく寝ていたのを起こされて大わらわしていますが、
中には私のスコップで身体を引きちぎられてしまったものもおります。
「ご免ね、ご免ね。君らは身体の半分以上が残っていたら元に戻るらしいから、
頑張って身体を再生するんだよ。」と唱えているうちに、
子供の頃聞いた、とても怖い話を思い出してしまいました。

それは実話です。
私が幼い頃、あるおじさんが我が家にやってきました。
おじさん、顔面蒼白です。「今日、ものすごいものを見てしもうた!」
聞けば、次のような話でした。
おじさんが車で運転していてある交差点に来た時のこと。
その直前に交通事故があったらしく、ふと目に入ったのが、
道路から上半身が生えた人でした。
その人、トラックの運転手だったらしく、
脇で止まっていたトラックには大きな金属のパイプが荷台に載っていたそうです。
でもそのパイプ、実は荷台からずれていました。
運転手が急ブレーキをかけた時に、「運動量保存の法則」っていうんですか、
荷台のパイプが止まらずに運転席を直撃し、
そのまま運転席を切り取ってしまったのでした。
つまり、運転手の下半身を残したまま、上半身だけを吹き飛ばしたということです。

そのおじさんが見た時には、上半身の運転手さんがまだ生きていて、
「助けてくれ~!」と叫んでいたそうです。
おじさんの話しぶりからしてとてもつくり話とは思えず、
強烈な印象が私の幼い記憶の底にあったのですが、
目の前でもがいているミミズ君たちを見て、つい記憶がよみがえり、
イメージが重なってしまいました。
「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏・・・」
その運転手さんの分も合わせて唱えながら作業します。

すると、カミさんが「電話だよ~。」と知らせてくれました。
場面が切り替わってほっとして電話に出ると、何と吉村医院の吉村先生です。
「お久しぶりです。どうしました?」
「いやぁ、禅師様はご機嫌いかがですかな?」と吉村先生。
先生は私のことを禅師様とちゃかしておっしゃるのです。
ちなみに私はどの宗教にも帰依しておりませんが。
「はい、今は畑で馬糞がえしをしておりました。」
それまでの気分を隠して明るく応えると、
「そうかそうか、そりゃお仕事中失礼しました。
 実はね、最近いろいろ仏法書を読んでいてもますます分からんようになってね、
そんなことを考えているうちに、急に貴方の声を聞きたくなったんですよ。」
ありがたいことです。今すぐにでも飛んで行きたい気持ちになりました。
先生の方も会いたいらしく、
「いつかこの近くに来られることがあったら、是非立ち寄ってください。」
と言ってくださり、電話を切られました。
(つづく)