今の家に移り住んでもうすぐ丸4年になろうとしていますが、
つくづく面白いなぁと思うのは、
いまだに私は自分の家のことを完全に把握していないのですよ。
それを象徴するような出来事がありました。

母屋の裏に蔵があります。
蔵と言っても、皆さんが想像するような立派な土壁の蔵ではありません。
どちらかというと掘っ立て小屋の物置のような感じですが、
(前地主さんたち、すいません)
ともかく「蔵」としての機能をもった建物です。

ちなみにこれは蔵の一階の扉付近です。
ちょうど厨房の裏口の前にあるので、
今はかみさんが手づくり味噌を安置しています。
でも実はその奥の物にはまだ手をつけていません。
何か掘り出し物があるかな?
1蔵一階

そして問題は2階です。
そうなのです。この蔵には2階があるのですよ。
でも登り口がない。見ると外に引き戸があります。
つまり、外からはしごで屋根に上って入るしかない。
2禁断の部屋

これまでもそこに部屋があることは知っていました。
でも他のことにかまけて、そこまで覗いてみようという気にならなかったのです。
それが最近になってふと目を向けたら、上の風景が入ってきました。

「あの部屋にはいったい何があるのだろう?」
どきどき
ワクワク
もしかして掘り出し物が?
いや、怖いものがあったらどうしよう?

こんな歳になって言うのも変ですが、
すっかり自分の持ち物になっているもので
こんなにドキドキワクワクするものが目の前にあるということが
とても新鮮でした。

「よ~し、この機会に入ってみるか!」
はしごをかけて、屋根に登り、いざ!引き戸を開けます!
すると、なんてことはない風景が目に入りました。
3部屋の中身

「これはガラクタばかりかぁ?」
正直言ってちょっと拍子抜けして、中に入ります。
想像以上に天井が高くて、10畳ほどのスペースでしょうか。
屋根裏部屋として十分使える広さです。

奥まで歩いていって、不思議な物体に目が留まりました。
物体というよりも、物体「群」ですね。
それは、縄のようなものの集まりでした。

何だかよく分からないけれど、ひと束を持って部屋を出て、はしごを降ります。
よく見ると、短い縄を束ねたものでした。
これは一体何なのだろう?
4何の綱?

何かを縛るためのものだろうという想像はできました。
でも何を、何のために?何故あんなにたくさん?
謎は深まるばかりです。
でも私がいくら考えても埒(らち)があかないので、
土間の「手動もみすり機」の上に掛けておきました。

すると間もなく地域の農業界の長老・カズミさんがやってきました。
会話をしているうちに、その縄に気づいた様子。
「何でこんなものがここにあるんじゃ?」
カクカクシカジカでと一通り説明すると、
「そうか。これはな。柴や稲を束ねるように作った縄だよ。」
とのこと。
「名前はな、わしらは『すがいな』と呼んでおったが・・・」
スガイナ?不思議な響きです。

「それにしても綺麗に編んであるのう。
まさかmasanが編んだのかと驚いたが。
そうかぁ、前に住んどった人たちが編んだんだなぁ。」
とひとしきり感心して帰られました。

早速ネットで調べてみます。
するとありました!
「すがい縄」あるいは「すがい」と呼ばれているようです。
やはり稲刈りの時に束ねる用に藁で作ったのですね。
こちらこちらで紹介されています。

改めてうちの「すがい縄」を眺めてみます。
どうってことない様に見えるけれど、綺麗に編んであります。
いいなぁ。こんな風に造作なく縄を編めればいいなぁ。
この「すがい縄」、一体何年前に作られたのかは分かりませんが、
幸いなことに蔵の二階でカビも生えず、程良い状態で保管されておりました。

ありがとう。
そんな言葉が自然に浮かびました。
ありがとう、こんな素敵な道具を残してくれて。
ありがとう、これらをずっと保管してくれていて。
ありがとう、今こうやって姿を現してくれて。

この家に移り住んで、本当にたくさんの発見と、
気づきと喜びをいただいています。
その想いをこれからも持ち続けて、できれば私も技を引き継いで、
次の世代につないでいきたいものです。
「部屋」に気づいて、入ったことで、新たな想いを胸にしました。