「masan、あんた来年度から氏子総代(うじこそうだい)だからな。」
ひと月ほど前に班の常会で知らされました。
「氏子総代って何?」
氏子は分かりますが、その総代って何をする役なのか?
正直なところよく分かっておりませんでした。

そこで、まずはウィキペディアで調べます。

「氏子総代は、神社の祭礼にあたって神職に協力したり、氏子・崇敬者の世話をしたりする。その神社の氏子・崇敬者のうちの「徳望が篤い人物」の中から宮司が選任することとなっており(実際には責任役員が決めているという神社も多い)、通常は複数人選任される。戦前の規定では、県社以下の神社については氏子数 に応じて3名以上の氏子総代を選出していた。神社が提出する届などには氏子総代の連署を要するなど、神社の維持のための活動を行う義務を有していた。現在 の制度でも、宗教法人の責任役員は、総代によって組織される総代会が選考することとなっている。」

ということです。
でも別に私の徳が篤いからという訳ではなく、
加子母の我が区では班ごとの順番制です。
たまたま私の年齢が次の役回りになったというだけのことです。
ただし少々やっかいなのは、役の期間が長い!三年間です。

我が二渡地区は6つの班に分かれていますが、
そのうちの一つは若者用の独身寮なので役が免除され、
残る5班から一人ずつ順番に選ばれます。
それがちょっとずつずらして選べば良いものを、
同時に全員が交代するのが正式なのですと。
だから来年度は勝手の分からない5名が行事を仕切るということになります。

「間違っても総代長の役は受けるなよ。大変だから。」
班の常会では周りからしきりにアドバイスを受けました。
総代会には、「総代長」「会計」「庶務」の三役があるらしい。
つまりは3/5の確率で役が回ってくるということです。
でも総代長を三年間受けるとなると、
何だか分からないけれど本当に大変そうです。

ちなみにこれまでの三年間を勤めた総代会は、
一年ずつ総代長を交代したらしい。
でもそれは正式ではないらしく、
「これまでは加子母の中で、
うちの区だけが唯一正式に三年間同じ人が総代長を勤めていたのに・・・」
と年寄衆は残念がっております。

「だからな、『今回は一人が三年間総代長をやりましょう!』
と言って、お前は逃げろ!」と周りがアドバイスしてくれました。
「それとな、『私は庶務をやります!』と先手を打て!」とも。
皆さん親身になって助言してくれますが、結構楽しんでいる様にも見えます。
果たしてそのような戦術が功を奏するのか?

さて、一昨日、「総代会の引継ぎ」なるものが開かれました。
二つのコタツが並べられ、片方にこれまでの総代会の5名、
もう片方に新総代会の5名が座ります。
片や荷が下りてやれやれのリラックス派。
片や「誰が総代長になるのやら?」と疑心暗鬼派。
客観的に見て結構面白い図です。

前任者たちはにこやかに引き継ぎ事項を説明し、
「じゃぁ後は新総代さん達で話し合って役を決めてください。
わしらはWBC(韓国戦)が待ってるから!」
と言って去っていかれました。

残された5名。お互い目を合わせず、しばし沈黙が流れます。
私はどうしようか逡巡しておりました。
班の助言通り、「庶務をやります!」と言い出すべきか?
あるいはあわよくば役から逃れられるかもしれないかも?
だって私はまだ地域の新参者なのだから。
年齢的には私は下から二番目の様子だし・・・

そんなことを考えていたら、一番の長老格・Sさんが口火を切りました。
二番目に歳のいったHoさんに向かって、
「わしはもう歳でえらい(きつい)から、あんた、総代長をやってくれんか?
応援はしっかりするで。」
間髪入れず、他の二人も「そうそう。Hoさんが適任だ!」と口を揃えました。

「いや、わしよりもこの人の方がええんでないかい?」
と私を指差すHoさん。
「とんでもない!」と即答する私。
「いずれにせよ、もし長老が外れたら、年齢的に私に三役が回るではないか!」
と心の内でつぶやく私。
序盤戦はこのように開始しました。

再び静寂が訪れます。
今度は真ん中の歳のMさんが言います。
「やっぱりHoさんが総代長に適任だよ。
だって若い頃に総代を一度経験したこともあるだろう?
そして会計は一番若いHiで、庶務がmasanで決定だ!」
おお、見事に自分を外してきました。

その後もジャブの応酬があり、やがて観念したHoさん、
「分かった。ではわしが一年目は総代長をやるよ。」
それを聞いて、これまた間髪入れず、
「とりあえず一年だな?」とSさん。
続いてMさん「そうそう、とりあえずやってみて、二年目はその時に考えよう。」
Sさん、「そして続けられそうなら続ければいいではないか。」
おお、さすが誘導ができております。

ということで、総代長はHoさんに決定!
あとは残る二役です。
すると総代長、いきなりリーダーシップを発揮し始めました。
「会計は賽銭箱の集金を毎月せねばならん。
それには家が一番近いmasanが適任だ!どうだ、やってくれるか?」

いきなりものすごい理屈で役を振られました。
あまりのフェイントに唖然とする私に、
「そうだ!それが一番理に適っておる!」と押し切られてしまいました。

「そして庶務は一番若いHiがやってくれ。」
これも強引に決定。
ということで、私は会計をすることになりました。
いやはや、すごい展開です。ま、仕方あるまい。

その後、今後何をどうやって進めるかと話すうちに、
「実際に神社と社務所を見てみないことには、
どこに何があるのやら分からんなぁ。」という流れに。
「じゃぁ、明日の朝、神社に集まるか?」
とHoさんのリーダーシップで決まりました。

そして昨日、私はU太を連れて神社に歩いて向かいます。
確かに私の家が一番近いので、楽と言えば楽です。
皆さん勢ぞろいして、前日の話通り、物品の確認を済ませて帰ろうかとしたら、
やおら総代長が地面に落ちたスギの葉を拾い始めました。
「せっかく神社に来たのだから、掃除をして帰ろうか?」

もしかしてそんな展開になるかもと想像していましたが、大当たり!
総代長、いきなりやる気マンマンです。
でも総代長のセリフと態度に清清(すがすが)しさを感じたので、
嫌な気分はせず、皆、従って掃除を始めました。

竹箒(たけぼうき)で落ち葉を集めていきますが、これが結構溜まっています。
1掃除1

集めたスギの葉はかがり火で焼きます。
U太も手伝っておりました。
2かがり火

小一時間ほどかかりましたかね。
「まだ新年度じゃないのだから、この掃除は今の総代会がすべきなんだけれどね。」
「まぁ何と!今度の総代会はやる気のあることだね。」
と皆、笑いながら作業をします。
でも誰も嫌々やっていないのがとても清清しいです。

私自身、掃除をするうちにとても気分が澄んでくるのを感じました。
まるで「ありがとう!」と周りから言われているような感覚です。
結構楽しいものだね。神社の清掃って。
やがて掃除は完了。綺麗になりました。
3掃除後1

最後に石段を掃除した私は気分爽快!
4掃除後2

こうして始まった総代会のお勤め。
小さな山里の、小さな神社が一段と親しみやすくなってきました。
最初は役が回ってくるのを逃げておりましたが、
すっかりこの二渡神社が好きになりました。
これから三年間、お世話になります!
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