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先日、郡上市和良地区の練習会に出稽古に行った話を書きましたが、
その後も私自身は、こと自分の上達具合に関しては悶々としておりました。
この春から連に入って練習していますが、
正直に書きまして、自分で唄っている気がしないのですよ。
ずっと、「こんな感じかな?」と様子を伺いながら声にしています。

その話を周りに言うと、「だってまだ一年目でしょ。当たり前よ!」
と一蹴されてしまいましたが、そうじゃない!
確かに笛だって3年目にようやくコツらしきものを掴んだわけですが、
こと郡上節の唄いについては、
そのコツを掴めるような環境に自分がいない実感があったのです。

というのも、こういう話って連の人が聞いたら怒るかもしれませんが、
ほとんど「指導」というものがないのです。
一つ曲が終わったら、「じゃ、次いこうか。」という具合。
では問題が無かったのかというと、決してそうではないというのが雰囲気で分かります。

先日は、ある曲が終わった後、「あんたの返しは妙に変だ。」と言われただけでした。
「どこがどう変なの?どうすればいいの?自分で気づいて自分で直せってか?」
思わずそういう気分になります。
きっと皆さんはこれまでも独学で努力してこられたのでしょうね。
いわば日本の昔ながらの修行スタイル「自分で盗め」というものなのでしょう。

そういう世界も嫌いではないですが、いつも居場所が無いようで居心地が悪いし、
練習後にスカッとした気分になりません。
モチベーションが上がらないと練習に身も入らないし、当然上達しない。
結局は自分で上達しない環境を作っているだけなんだけれど、
その突破口が見えないでいました。

そんな時に入ってきた情報。
「郡上踊り保存会が主催の一般向け練習会があるよ。」
今年はこの27・28・29日の三日間やってくれるというので、
都合のついた昨夜、一人で行ってきました。

自宅から車で約1時間半、郡上市役所脇の総合文化センターに着くと、
お囃子と踊りの練習会に分かれて受付をしています。
踊りの方は若い衆や家族連れも見えます。
控えのソファーで待機していると、隣に座った方が気さくに声をかけてきました。
郡上踊りがいかに楽しくて、それに魅了される人が多いか、
そして今や全国・世界中に踊りに行っていることを熱心に語っておられました。
地域に対する想いをものすごく感じるし、それがまた楽し気なのがいいです。

さて練習会が始まりました。
お囃子組は三味線・笛・太鼓・唄のグループに分かれ、
それぞれ保存会の人がついて、まず初めに指導から入ります。
唄の指導はたしかGさんという方でした。
数名の生徒がいるのですが、私の真正面に座っておっしゃいます。

「郡上節はね、民謡なのです。
民謡を唄う時は、まず正座。そして背筋をピンと伸ばすこと。
何よりも大切なのは腹筋です。
息を吸うときに肩や胸を動かしてはいけない。息を長く大きく吸ってはいけない。
一瞬のうちに大きく吸って、腹を大きく膨らませて息をためてください。
その腹を殴られても平気なぐらいに力を込め、そして唄ってください。」
おお、いきなり本論です。期待満々です。

「では合わせてはじめてみましょう。」と、『かわさき』から入りました。
出だしのGさんの唄い声を聴いてビックリ!話し声と全く違うのです。
どう表現すればいいのでしょうか?まるで宇宙人と会話している気分になりました。
それくらい、話し声とは異なっていました。

すごく高音で、張りと艶があって、小さく唄っているように見えるのに、
実は声が通っています。すごい!
私は一発でとりこになりました。

三番ほどGさんが唄った後、
いきなり私に「次、唄ってください。」と振られてしまいました。
私が真正面にいるのだから仕方がないか。えい、ままよと3番唄いました。
続いて他の方も唄って、しばらくして終わり。

するとGさん、私の方を見て、
「まぁ、一応無難に唄えていますがね、」と口を開き、細かい指導が始まりました。
「最初に言ったように、腹で唄ってください。
喉で上手に歌おうとしても、長丁場でもたないのです。
そして口を大きく開けること。一緒に発声練習をしてみましょう。」
その場のみんなで『あ~』と発声練習が始まりました。

その後も一曲が終わる度に、とても丁寧に指導をしてくださいました。
周りを見るに、きっと他の人は常連さんなのでしょうね。
私一人が新参者だったこともあったからでしょうか、
ほとんどマンツーマンで指導してくれました。

姿勢、発声、一曲ごとの唄い方とコツ、
とても細やかに指摘と指導を受け、感激であります。
そして休憩時にも郡上踊りの魅力についていろいろと話してくれました。

「大切なのは踊り子を納得させることですよ。ただ綺麗に唄うだけではないのです。」
「郡上節には山がない。それをいかに踊ってもらえるかが腕の見せ所なのです。」
「郡上節は10曲ありますが、全ての節回しが違う。
しかもイントロ無しで、返しの部分からいきなり始まる曲が多い。
つまり出だしの声の出し方一つで大きく変わってしまうのです。
これにはプロの歌い手さんも驚かれます。」

Gさんの声に魅了された私は思わず訊ねました。
「どうやったらあなたのような声になるのですか?」
「それはね、先ほど私が言った唄い方を毎日、何十年もやってきたからですよ。
5年や10年ではこうはなりません。」
うう、重い。

「それにね、郡上節はまだ楽なほうです。
私は他の民謡もやっていますが、江差追分なんてやろうとしたら、
それはもう大変な努力が必要なのです。
そのために、山の中や滝壺で練習なんてこともよくやりました。
そういう練習を何十年も重ねてきた結果の、この腹筋なのです。」と腹を叩くGさん。
かっこいい!

Gさんから見たら、私なんぞホント話にもならないレベルだろうに、
決して蔑むこともなく、丁寧な語り口で、でも自信を持って話される口調に、
私は畏れ入りました。

やがて2時間の講習会が終わりました。
ずっと腹に力を入れっぱなしの私は、腹筋が筋肉痛を起こしています。
でも大変な充実感がありました。
これこれ、こういう練習会を私は待っていたのですよ。

そして、一つ目標が生まれました。
「一年後、もう一度Gさんの前で唄って、指導を受けたい!」というものです。
Gさんですら数十年かかった道、
私ごときがたった一年でどうなるものでもないでしょうが、
でもそんな目標ができたことで、ものすごくモチベーションが上がってきました。

帰り道、iPodに録音した講習内容を早速車中で聴いてみます。
すると、見事なくらいにGさんと私の声に歴然な差があるのが分かります。
私の声ったら、とてもくぐもっていて、聞き取りにくいです。
自分の声や唄を聴くのって嫌ですよね。
でもこれも修練だと割り切り、最後まで聴きながら、ますますやる気が出てきました。

つまるところ私は、これまでは郡上節の魅力を知らないまま、
漫然と練習をしてきたのかもしれない。
そして今回、はっきり言ってGさんという人に魅了されて、
ようやく郡上節の入り口に立ったような気分になりました。

さぁ本番初日まで一ヶ月を切りましたが、今回の学びで少しはきっかけを掴んだかな?
後は練習を繰り返すのみだなぁ。

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