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昨日は慌ただしく時が過ぎました。
カミさんの友人が泊まりに来て、山菜採り、川でスパイラルガーデン用の石取り、
薪割りなどを手伝ってくれ、気分が紛れました。
夕食時、お隣のタケオさんから電話です。
そう言えば毎月18日は念仏講の日でした。慌てて出掛けます。
昨夜はファルコンのために念仏を唱えました。
帰宅したのは22時。ようやく一人っきりになり、通夜を始めました。

玄関前のU字溝に火を起こし、傍にファルコンを寝かせます。
まるで八ヶ岳にいた頃、薪ストーブの傍で寝ていた彼と絵がかぶり、
思わず胸が絞まります。
酒を注ぎ、炎を眺めながら物思いに耽りました。
そのうちに、ある物語を思い出しました。
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ここから先のお話は、個人情報がうんぬん言われる昨今、
問題がある内容かも知れません。
でもご当人にはとても申し訳ないのですが、ファルコンの存在を語る時、
はずせないような気がして、書かせていただきます。Oさん、お許しください。

今まで誰にもお話ししたことのない物語です。

・・・・・
Oさんは若い頃からルソーの『エミール』を愛読し、いつか自分に子どもができたら、
この本に書かれているような子育てをしたいと願っていました。
モーツアルトに惹かれ、
ついに大学の授業料を払わずにウィーンに行ってしまうような行動派のOさん、
やがて結婚し、京都でパブ喫茶を経営するようになり、経営も順調でした。
そしてお子さんも数名生まれ、数年が経った時、ある出来事が起きました。

次男のK君が筋ジストロフイーにかかっていることが分かったのです。
非常に寿命の短い難病です。
Oさん夫婦のショックは計り知れないものだったでしょう。
でもOさんはこの時に考えました。
「K君が生きているうちに『エミール』の舞台のような環境に連れて行こう!」

それから土地探しが始まり、八ヶ岳に絶好の地が見つかりました。
でもOさんにはその土地を全て購入するだけの資金が足りません。
それでも周りに熱く想いを語り、大きな借金をして、
その土地と上屋となるホテルの建設資金を調達することができました。

当時Oさんは車を持たず、
バイクのカブで京都と八ヶ岳を何度も往復して交渉に通ったとか。
やがてホテルは完成し、家族は移住しました。
そしてホテルは本物の設えとサービスが評判を呼ぶようになりました。
表向きはとても順調なホテル経営。
でもその裏側で、家族による懸命の看病が続いていました。

ある時、K君がOさんに伝えました。「大きい犬を見たい。」
その一言を聞き、Oさんは手元にあった現金を手に、家を飛び出しました。
そこで出会ったのがトトロン、ファルコンの母です。
やがて父親、ジョリーもやってきて、彼らはホテルの看板になりました。

トトロンは二回のお産で十数匹の子どもを産みました。
Oさん曰く、その中でファルコンは一番元気でやんちゃだったとか。
でも彼は最初の飼い主のしつけが甘かったこともあり、
猛烈な暴れ犬になってしまいました。

その後、縁があり、私が飼うようになって、
幸いにもファルコンはとてもおとなしい犬に変身してくれました。
その姿を見てOさんはいたく感動してくれ、ことある毎に私をホテルの夕食に誘い、
ご馳走は勿論、帰りにはヴィンテージもののワインを何本も持たせてくれました。
でもその度にいつも話題の最後はK君のことになり、涙を流すOさんでした。

数年前、綺麗にブラッシングされたファルコンを見て、
「是非K君に見せてやってくれ。
トトロンそっくりのファルコンを見たら、きっとK君も喜ぶから。」
と頼まれ、ご自宅の中に連れて行きました。
(トトロンとジョリーは既に亡くなっていました。)
当時既に自分の意思では動けなくなっていたK君ですが、
僅かに口の端が嬉しそうに動いたような気がしました。

昨年、K君は亡くなりました。この病気にしては驚異的な寿命だったそうです。
大変遅まきながら、心よりご冥福をお祈りします。
そしてOさんご家族の皆様、本当にご苦労さまでした。
奇跡だと言われたK君の長寿は、ご家族の本当に涙ぐましい努力があってのことです。
(確か入院をさせなかったと聞いています。)

そしてK君の大好きな大きな犬達が心の支えになっていたにも違いありません。
でも、ファルコンの兄弟も全て亡くなっていました。
この犬種はとても寿命が短く、
早くて6~7歳、長くても10歳以上にはなかなかならないのです。

昨日、Oさんに電話でお知らせしました。
「ファルコンは貴方のお陰でよみがえりました。
あいつは一番の幸せものです。ありがとう。」と言ってくださいました。

トトロンとジョリーの最後の子どもが亡くなりました。
ファルコンの誕生日は1994年3月27日。あと10日足らずで12歳になるはずでした。
・・・・・
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