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私はずっとあるものを保管していました。
それは火鉢です。
私の祖父(じい)さんの形見です。
祖父さんが死んだのが確か私が高校入学した時だから、28年前。
形見分けをしている中で、私は祖父さんが愛用していた火鉢に目をつけました。
「僕はこれが欲しい!」
「それは捨てるつもりだったから、やるよ。」といただきました。
でも使う場所がない。

私の住む場所が大阪から関東に移り、
それも木場→駒込→船橋→代々木→田園調布と転々する間、
ずっとそいつは使われることなく、ただそこにありました。
1996年、八ヶ岳に移った時、やっと使えるかと思いきや、
やっぱりログハウスには合わず、
アクリルの板を上に置いたテーブルとして使われるのが関の山でした。

八ヶ岳から丹波篠山に移っても同じ。居場所は無し。
それが今回、居間の畳を替えた部屋でようやく復活しました。
苦節28年、よう耐えたなぁ。よくぞ我慢した。
今日は午後から肌寒くなってきたので、
炭を入れてあげました。
28年ぶりの炎を抱く火鉢です。

この火鉢をいまだに持っていることを先週両親に話したら、
とっても驚いていました。
「とっくに処分されたと思っていたのに。」と親父は感慨深げです。
そして、「是非、底に稲のワラ灰を敷いてくれ。」と頼まれました。
ワラ灰は使うほどにしっくり火鉢に馴染むんですと。
その話が耳に残っていたので、今日使い始める時に思案しました。
ワラを集めて焼くとしても手間がかかります。
そこで思いついたのが、私の隠し財産です。

私は陶芸工房を開いていた時、いずれは自前の釉薬を使いたいと、
地元の農家からもらったワラを焼いた灰を持っていました。
その灰は何度もふるいにかけられ、鉢で擦られ、とても細かいサラサラの灰です。
これから長石と合わせて、即釉薬に使えるという代物を、
いつか使うことがあればと保管していたのです。
今回こいつを火鉢の底に敷くことにしました。
だってこいつの復活にこそふさわしいものじゃないですか。

そのワラ灰、固まって砂岩のようになっていました。
そいつをヘラで砕いて細かい状態に戻します。
そして炭です。
以前いただいた、竹炭を焼いて置きました。
その上にまた竹炭を置くと、パキパキと良い音がします。
28年目の、この火鉢にとって本当に久しぶりの炎の音色です。

しばらくすると、今回の家の修繕をいろいろ助けていただいている
N工務店のKさんがふらっとやってきました。
Kさん、「最近のうちの施主さんで、『薪ストーブはいらない。
 火鉢があれば十分!』という方がおられましたが、本当ですかね?」
さぁ、それは何とも言えません。
とても暖を十分に取れるとは思えないものですから。

でもね、何となく部屋がじんわりと暖かい感じがしますし、
手をかかげると心がジンとあったまるんですね。
あとはやせ我慢だと思いますが・・・。
いずれにせよ、私はこの火鉢の最後の居場所を見つけられたことに大満足です。
これからどれだけ一緒に過ごせるか分からないけど、
こういうモノとの出会いっていいじゃないですか。

28年ぶりの炎
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